新宿区神楽坂の税理士ブログ

2016.07.08更新

みなさん、こんにちは神楽坂公認会計士税理士事務所の品川です。
今年の夏は猛暑になるみたいですね…、7月上旬からすごい暑さです。
そして猛暑といえば、翌年の花粉症です…(猛暑の翌年は、花粉の飛散量も増えるらしい)。花粉症の方は、年明け早めに対策しておいた方が良さそうですよ。

さて、今日は、青色申告について、お話ししたいと思います。
「聞いたことはあるけど、税務署に承認をもらわなきゃいけないし、面倒でまだやってない」という方は、このブログを読み終わったら、直ぐに青色申告の申請をしてください!とてもメリットの大きな制度なのです。

青色申告の特典の主なもの(個人事業主編)
1. 青色申告特別控除
これは、所得税の計算上、売上から経費を差し引いて計算した事業所得の金額から、65万円を控除できるという制度です。例えば、売上が600万円、経費が300万円だとしたら、税金は235万円(=600-300-65)に税率をかけて計算することとなります。
従って、所得税の税率が10%の場合、青色申告をするだけで6万5千円(65万円×10%)も税金が少なくなることになります!
但し、確定申告書に貸借対照表と損益計算書を添付して、確定申告期限内に提出することが必要となりますので、貸借対照表を作るのは少しハードルが高いかもしれません。
なお、不動産所得や山林所得が少しあるけれど、事業規模ではないという場合は、控除額は10万円となります。

2. 青色事業専従者給与
青色申告ではない場合、生計を一にしている家族にお金を渡した場合、それが給料なのか、生活費なのか、はたまた小遣いなのかを区別することが難しいことから、家族に支払った給与を経費にすることが出来ません。しかし、青色申告の場合、労働の対価として家族や親族に支払った給与を、経費とすることが出来るのです!

3. 純損失の繰越と繰戻し
事業所得が損失(マイナス)となってしまった場合、その損失額を翌年以降3年間にわたって繰り越すことが出来ます。例えば、1期目で事業損失となってしまい、2期目で利益が出た場合は、2期目の利益から1期目の損失の金額を差し引いた残額で税金を計算することが出来ます。
例)
1期目 300万円の損失
2期目 500万円の利益 
→ 2期目の税金の計算上、2期目の利益額500万円から、1期目の損失額300万円を控除できる!

また、去年は沢山利益が出たけれど、今年は赤字になってしまったという場合には、その損失額を前年に繰り戻して、前年の所得税の還付を受けることもできます。
事業をしていれば良い年も悪い年もありますから、業績が良かった年に過去の損失を繰り越せるというのは、青色申告の最大のメリットです!

4. 30万円未満の減価償却資産の即時償却
通常、減価償却資産を購入すると、その資産を使う一定の期間にわたって経費処理することが必要となります。このため、儲かった年に資産を購入して経費を増やそうと思っても、購入額の全額が経費になるわけではないので、意外に節税効果は少ないものです。しかし、青色申告をしている場合、その資産が30万円未満であれば、購入した年に全額を経費として処理することが認められます。

青色申告の特典の主なもの(法人編)
1. 青色欠損金の繰越控除・繰戻還付
ある事業年度で損失が出てしまったら、その損失を翌年以降9年間にわたって繰り越すことが出来ます。また、前年に利益が出て、その翌年に損失が出てしまった場合、損失を繰り戻して、前年に納めた法人税を還付してもらうことが出来ます。

2. 30万円未満の減価償却資産の即時償却
30万円未満の資産を購入して事業に供した場合、その事業年度に全額を経費処理することが出来ます。

3. 特別償却・税額控除
資産の特別償却や税額控除など、様々な制度があります(具体的な内容は、毎年の税制改正で大きく変わります)。

一方で、青色申告には若干のデメリットもあります。そもそも青色申告は正確に帳簿を付けてきちんと納税してくれる人には、税金の計算で優遇しますよという制度なので、税金の計算上、有利な特典を受けられる代わりに、こちらもきちんと帳簿を作成することが必要となるのです。

青色申告承認申請の期限
青色申告の適用を受けるためには、税務署に申請書を提出し、税務署から承認をもらわなくてはいけません。しかも、申請書には提出期限があって、この期限を過ぎると税務署は絶対に認めてくれないのです(どんなに交渉しても無理です…)。

(個人事業主の場合)
原則 … 青色申告の適用を受けようとする年の3月15日まで
開業時 … 業務を開始した日から2ヶ月以内

(法人の場合)
原則 … 青色申告の適用を受けようとする事業年度開始日の前日まで
開業時 … 設立から3ヶ月を経過した日と当該事業年度終了の日とのうちいずれか早い日の前日まで

例えば、7月1日に会社を設立した場合、9月30日までに申請を出さなければいけません。10月1日以降に申請をした場合、青色申告が認められるのは第2期の確定申告から、ということになってしまいます。第1期目は損失になることが多いので、青色申告の承認を受けそびれて、この損失を繰り越せないとなれば非常にもったいない話です…。開業時こそ税理士と相談して、手続き漏れがないようにしたいものですね。

投稿者: 神楽坂公認会計士税理士事務所